俺は独り外呑みのカウンターでは隣席の人にこっちから話しかけたりしないし話しかけられたくもない、というタイプなのだが、先日、小山薫道風隣客の呑み方や佇まいがどうも気になり、ついには俺の方から声をかけてしまった。

このような場合、俺なりの厳格な会話のルールがある。

自慢話は一切厳禁、仕事の話もダメ、堅苦しい話もなし。

要するに、たわいもない、毒にも薬にもならぬ話が良い。

それでお互い笑えれば更に良し。

この夜、その男性とはラーメンの話で盛り上がった。

俺は今まで博多とんこつラーメンを注文する際に「粉落とし」なる注文方法があることは知っていたが、それは単に麺を振って打ち粉を落とすだけで茹でないものと思っていたのだが、どうやらその認識は間違っていたようで、ほんの一瞬は茹でるのだそうだ。

博多出身という彼が言うのであるから本当だろう。

とまあ、赤の他人とこういう無駄話を楽しみながら旨い酒を呑むというのもたまにはいいのかもしれない。

名前も名乗らず、連絡先を交換することもなく別れたが、それも当然。

再び偶然に会えば、良き友人になろう。