ラオウは、

「我が人生に悔いなし」

と言い切ったが、俺は我が人生にいくつかの悔いがある。

その一つが、あれだけしばしばマイケル・ジャクソンが西宮球場でライブをやったというのに、俺はただの一度も観に行かなかった。

今、この歳になってそれを著しく後悔している。

映画マイケルの公開により、その後悔は今や最高潮だ。

そういう意味においては、俺の古傷に塩を塗るような映画といえよう。

友人から、

「一緒に行くんやったらおまえの分のチケットも買っといたるで?」

と何度か誘われたにも関わらず、俺はその全てを断ったのだ。

興味がないわけではなかったが、それ以上にチケット代が惜しかったのだろう。

今も当時も、超一流の外タレライブはチケット代がとても高い。

結果、あの時の俺の判断が一生の後悔になろうとは、何とも馬鹿なことをしたものだ。

若き過ち、痛恨の痛手である。

その反面、誉めてやりたいこともある。

デビット・ボウイのライブには何度も足を運んだ。

俺はYMOの大ファンであったので、坂本龍一つながりで好きになったのだ。

ボウイは不思議なアーティストで、CDを聴いてもそこまで歌が上手だとは思わなかったが、ライブで聴くその歌唱力の素晴らしさは何度聴いても圧倒されたものだ。

生で聴いた人にしか分からないだろうが、それはもう玉置浩二とも肩を並べる程であった。

その衝撃はまるで先週のように俺の記憶に刻まれている。

人間、たとえ金欠であろうとも多少は無理をしてライブやイベントには参加しておくものだ。

特に若い時期は。

それらが先々一生の思い出となる。

ダフ屋から買った巨人対近鉄の伝説の日本シリーズ、

レベッカの日比谷野外音楽堂ライブ、

サザンの大阪球場ライブ、

YMOのウインターライブ、

南西諸島の放浪旅、

未食に終わったホープ軒、

100対100の大喧嘩、

日本全国のご当地料理食べ歩き、

そして何より、金欠ながら世界を巡ったバックパック旅行...

俺は俺の若い頃を誉めてやりたいと強く思う。

ただし、西宮球場のマイケル・ジャクソンを除いては。

今の世の中、何かと不確実なことばかりだが、一つ確信を持って言えることがある。

人類は今後も何千、何万のミュージック・ビデオを世に出すのだろうが、絶対にマイケル・ジャクソンのスリラーを越える作品は出てこない。