もしドラゴンボールZの孫悟空が気功治療院を始めたら…

それはもう間違いなく大繁盛するだろう。

それは彼が何度も地球を救ってくれたことに対する我々の感謝の気持ちからでもなければ、世界中で愛される人気者だからでもない。

孫悟空は格闘家として超一流なだけではなく、例え未経験であれ気功治療家としても超一流のポテンシャルを秘めていると推測できるからである。

その根拠はこうだ...

多くの方は大ざっぱに気功治療という一つのジャンルとして解釈しているようだが、その具体的手法は補法と瀉法(しゃほう)の二つに大別される。

現在、世界中に存在する気功治療院ないしそれに類する治療院のほとんどは補法による治療を行っている。

反対に、当院のようなごくごく少数の気功治療院において瀉法による治療が行われている。

補法が与える治療であるのに対して瀉法は抜く治療である。

これら二つの違いについては水道管の掃除を例にして説明するとわかりやすい。

水道管内部にべっとりとこびりついた汚れを落とそうとする場合、理論上においては二つの方法が存在する。

一つは管の片側にポンプを取り付け、そこから高圧の洗浄液を流し込む方法。

この場合、水圧が高ければ高いほどホース内の汚れは簡単に一掃される。

事前に汚れがホースのどの部分にこびりついているのかを詳しく把握する必要もない。

補法による気功治療の場合、患者の身体に注入されるのは洗浄液ならぬ宇宙エネルギー、自然治癒力エネルギー、○○波動等々...ということになる。

このあたりの名称は流派や治療家によって様々。

補法はその簡便性から優れた方法のように思えるが、大きな欠点がある。

すなわち、注入される洗浄液の圧力が弱ければ掃除として全く用をなさないということ。

圧が弱いと汚れは内部に付着したままで、注入された洗浄液がそのまま出口から流れ出るだけ。

私たち家庭の水道管もこれと同じ状態である。

水道管内部には長年の汚れが沈着しているはずだが、蛇口を捻っても出てくるのは綺麗な水ばかり。

圧が低いからこうなるのである。

補法における気功治療もこれと全く同じこと。

治療家が発する気の圧が低ければ、その注入された気は患者の身体に何らの影響を与えずただチョロチョロと素通りするだけである。

私は、患者の病や症状を治し得るほど高い圧の気を注入できる気功治療家が世に存在する気功治療院の数ほどたくさん存在するとはとても思えない。

更には、勘違いしている気功治療家も多いようだが、補法の気功治療を行う場合に最も大切なのは瞬間最大圧であって時間ではない。

圧の弱い気であればいくら長時間流したところで意味がない。

そもそも集中力の問題などにより長時間流す時点でどうしても徐々に弱くなる。

このところがわかっていない気功治療院は時間が長くなるにつれて料金も高くなるので、直ぐに峻別することができる。

私に言わせれば時間が長くなればるほど料金は安くすべきである。

治療に自信のない自称気功治療家にとって補法は止め時がわからないのでこのような状況を生んでいるという側面もある。

水道管の掃除と同様、人を治し得る程に高い気の圧の持ち主であれば勝負は一瞬だ。

 

では果たして人類史上最高度の圧力を持った気を発することができたのは誰か?

「孫悟空!!」

と言いたいところではある。

カメハメ波によって山の一つや二つを物理的に簡単に吹っ飛ばせたのであるから、そのパワーたるや凄まじい。

しかし、残念ながら彼は人類ではなくサイヤ人、とりわけスーパーサイヤ人である。

よって、質問の答えとしては相応しくない。

では誰か?

それは、イエス・キリスト。

聖書には彼が起こした治癒の数々が残されているが、私は人類史上最高の利他愛を実践したキリストであればあのような奇跡が実際に起こり得たと思う。

日本人であれば空海であろう。

いずれも宗教家であり、このあたりのことについても話したいが、話が逸れてしまうので別記事にて。

 

一方、気功治療における瀉法(しゃほう)、すなわち抜く治療とは何か?

同じく先の水道管の汚れに例えれば、高圧の洗浄液を流し込むということではなく、管の内部の汚れをモップを使ってごしごしとピンポイントで清掃するイメージになる。

高圧洗浄機による清掃は水道管内部全体をも同時に掃除しているので、というよりも内部全体を掃除した結果、部分的にこびりついていた汚れが落ちたといえる。

つまりは、ずいぶんと無駄の多い方法であるということになる。

対してホース内部の汚れをピンポイントで掃除する方法は労力に全く無駄がなく、それでいて的確に汚れを取り除くことができる。

つまりは最低限の労力で最大限の効果が得られる。

ではなぜ瀉法による治療を行う気功治療院が世にほとんど存在しないのか?

それは汚れの場所がどこにあるのか分からないから。

汚れの場所、つまりは人体に鬱積して停滞したマイナスエネルギー、私はそれを邪気と呼んでいる。

世の気功治療家のほとんどは邪気の存在している場所がわからないから補法をやるしかない、あるいは、そもそも瀉法による気功治療法があることを知らない。

「患部=邪気の停滞している場所」であれば話は早い。

ところが必ずしもそうはならない。

右膝の痛みの原因が腹部や左肘に存在するなど、よくあること。

瀉法による気功治療の場合、患部と邪気の場所が一致していれば患部に対して治療を行うが、そうでなければ患者にしてみればずいぶん見当違いの場所を治療されているように感じることだろう。

そして、総じて患部と邪気の場所は一致しない。

というのも、病因となる邪気は必ずしも一つではないし、体表から離れて空中にある邪気も多い。

もし私が自分の手のひらを金槌でおもいきり叩いた場合、その直後は確かに邪気は手のひらのみに存在する。

しかし、時間の経過と共に複数の場所に邪気が散り始める。

患部から最も遠い位置にある邪気が最も影響力の強い邪気である。

また、邪気というものはどうやら階層構造になっているようで、ある邪気を消すとまた新たな邪気が現れる、ということがよくある。

まるでロールプレイングゲームをしているような、雑魚敵を倒して初めて中ボスや大ボスが現れるような、そんな感覚だ。

私は自分が採用しているからといってことさらに瀉法の優位性を説くつもりはないが、白樺ではピンポイント治療、すなわち瀉法による治療を行っている。

 

さて、もし孫悟空が東京や大阪で気功治療院を開業していれば、私も何かあったらぜひ治療してもらいたいと強く思う。

私の身体がバラバラにならない程度のカメハメ波を注入してもらえば、どのような症状も一瞬にして改善するだろう。

そんなだから、連日、門前市をなすほどの大繁盛であろうことは間違いない。

しかしながら彼はサイヤ人、なかんずくスーパーサイヤ人と呼ばれる超戦闘的な稀少種族である。

強敵が次々と現れ、周辺の建物や山が破壊され尽くすのも時間の問題である。

よって、もし孫悟空が東京や大阪で気功治療院を開業した場合、最初の敵が現れて町や治療院が破壊される前に速攻で予約を入れるのが正解となる。