「あなたの職業は?」と問われれば、便宜上は「気功師です」ということになる。

けれども、そこにはいささかの違和感を感じずにはいられない。

私が昔薫陶を受けた師は医療気功師を名乗っておられた。

ならば私も...と言いたいところだが、たかだか私ごときが師と同じ医療気功師を名乗るなどおこがましいにも程があるし、守破離ということになるのだろう、今の私の治療法は師から教えて頂いたスタイルとは全く異なる自己流である。

初めて私の治療を受けられる方は一体目の前で何をやっているのか全く理解不可能だろう。

「やや、これはとんでもない処に来てしまった...」

そんな落胆の色が露骨に現れる方も中にはおられる。

私としては最短時間で最も効果があり、かつ、最も治療効果が長持ちする治療法ということで、現状では今のスタイルに落ち着いている。

だから、患者さんの落胆を感じても、

「治ればきっとわかってもらえるだろう」

と、内心開き直って堂々自信を持ってやらせて頂いている。

私まで動揺してしまったら、もうその時点で治療は失敗に終わったも同じだ。

今まであらゆる治療を受けてきたが特に効果を感じなかった...

そのような難しい患者さんが来た場合、普通の治療院なら「治療代を徴収しつつもいかに平穏無事に帰って頂くか」というのが主たる目的になるが、我が院は違う。

一つの傾向として、過去いろいろな治療を受けてこられた患者さんは前向きに、興味津々に私の治療を受けて下さる。

結果、治療がとてもスムーズに行く。

他方、代替医療など全く受けたことがなく大学病院の次に我が院を選ばれたような方の反応はいささか手厳しい。

よって、我が院も初めから「気功治療院」などとはせずに「邪気祓い処」とでも改めた方が私の治療所作からして実体により近くなるのだが、そうしたらしたで今度は「憑き物を落として下さい」やら「私の背後に何か居ますか?」などといった依頼が来るのではないかと危惧している。

私はあくまで東洋医学に基づく気の治療を業とする者であって、霊能者とか霊媒師とかいった人種とは全く異なる。

私には患者さんの過去や未来は見えないし、霊などにも全く鈍感だ。

よって便宜上やむなく気功師及び気功治療院と名乗らせてもらっているというのが実状である。

本来であれば「医療邪気祓い処」という言葉こそが最もしっくりくるように思う。

この点、初回治療前に頭の片隅にでも留め置いて下されば幸いです。