私が治療院を開業して以来、長年続けている習慣がいくつかある。

その一つ、週に一度、家の近所にある医大附属病院の待合いロビーに行くこと。

白い巨塔の内部に入れば、いつ行っても診察を待つ患者でロビーは溢れかえっている。

そこで私は最も良くフロアが見渡せる場所に座る。

一体何をするのか?

それは治療家として改めて心を引き締めるため。

私に気功治療を依頼してくる人の多くは、このような大学病院の治療でさえ好ましい結果が得られなかった方々だ。

私に最後の望みを託して藁をも掴む思いで依頼してこられるのである。

大学病院の待ち合いフロアに行くと、そのような方々から治療依頼を受けるということの責任感を視覚的な面からも改めて痛感せずにはいられない。

理屈ではわかっているつもりでも、実際にこのような場に身を置いてみて心の底から責任感というものを再認識する必要がある。

「白樺は最後の砦なのだ...」

責任感と共に、そう思わずにはいられない。

このような理由による週に一度の医大附属病院通いなのである。

いつもだいたい小一時間いるだろうか。

それくらいの時間じっと診察待ちの人々を見ていると責任感が腸(はらわた)まで染み込んでくる。

これを1、2回さぼったところで直ぐに治療結果には影響しないだろう。

けれども、全くやらないとなれば話は別だ。

とても今の治療レベルを維持できないと思われる。

だから、私には絶対に欠かせない大切な習慣なのである。

そのような意味において、医大の待合いロビーは私にとってどのような場所にも勝るパワースポットなのかもしれない。