昨夜(2020年5月5日)もそうだが、NHKにおいては再三再度にわたり東洋医学の効能を取り上げてくれて感謝しかない。
ガッテンやプロフェッショナル等々、各番組内では鍼灸や指圧の効能が取り上げられることが多いが、深夜ならともかく、ゴールデンタイムにおいて経絡やツボの名称が踊ることにつき、東洋医学の従事者として嬉しさを覚えずにはいられない。
私の主張の一つとして、それを大ざっぱに表現すれば「急性症状は西洋医学で、慢性症状は東洋医学で治療するのが良い」ということがある。
現在、日本医師会はそのテリトリーを微塵も分与する気はないようで、重傷患者はもちろんのこと、軽度な風邪の症状から治る見込みのない慢性症状まで全て医師が治療に当たっている。
少し前までは救急車での搬送時において救急救命士が気管にチューブを挿入するのにもいちいち医師に連絡して許可を得る必要があるとされていた。
このような状態では医師に業務が集中するのは当たり前である。
病歴が優に十年を越える慢性患者がいつまでもだらだらと西洋医学の治療を受け続けていることも珍しくないが、本当に患者のことを思うのであれば医師の方から東洋医学を勧めてみるような良心があってもいいのではないか。
そのようなアドバイスをしたくても、まわりの目であったり、病院の経営面であったり等々により思うようにはできないのかもしれない。
であるならば、患者の方も全て医師の言う通りといった態度ではなく、自発的な行動が求められるだろう。
東洋医学に従事する者は得てして西洋医学を叩く傾向にあるが、それは間違いである。
例えば、私が車に跳ねられて内臓を損傷した場合、悠長に東洋医学を受けたいとは絶対に思わない。
一定の症状レベルを越えればいくら私であっても治療の選択肢は西洋医学しかあり得ない。
そんな東西医学の選択基準が世間一般に広がればと思う。
さすれば日本の医療事情も良い方向へと改善するだろう。
TV番組を巧みに利用した支配者側(製薬会社、病院経営者、属議員、等々)による洗脳、及び、被支配者側(国民や患者)の無知や不勉強により、今の日本の医療事情はまさに異常な状況にある。
過去、我が日本国は間違いなく東洋医学の先進国であり、日本漢方の文化も花開けば鍼灸の名人もいた。
ところが今はどうだ?
明治維新を機に退化に退化を重ね、今では東洋医学輸出先のヨーロッパやアメリカにさえ完全に遅れを取っている。
というよりも、まるで日本には東洋医学など存在しないかのような衰退振りである。
そんな現状にあって、しばしばNHKで東洋医学が取り上げられるのが単純に嬉しい。
日本に東洋医学という治療選択肢が広がるには、先ずは欧米からの逆輸入による鍼灸治療こそがその先鋒に相応しい。
鍼灸治療が普及してそこで初めて気功治療の土壌が出来上がる。
鍼灸による東洋医学の効用が世間に認知されない内から気功治療を声高に主張絶賛したところで怪しさが増すばかりだ。
だから私は今でこそこういう仕事をしているけれど、鍼灸治療業界も最大限応援している。
鍼灸治療に興味のある方は鍼灸治療の注意点とアドバイスという記事も書いたのでぜひ参考にして頂きたい。