ある有名プロアスリート選手と長年のお付き合いをさせて頂いている。
お付き合いといっても家族ぐるみの親しい間柄とか、そういうことではない。
ストイックな仕事上の関係である。
そのきっかけについて少々...
始まりは私からの一方的な売り込みであった。
今から20年ほど前のことである。
私が行う治療においては特に生理痛に対する治癒率及び改善率が極めて高く、その数字は99.9%であると言っても決して過言ではないと自負している。
20年前の治療レベルにおいても既にそのような傾向にあったので、当時、
「生理痛専門の治療院として生計を立てていこうか!?」
などと考えたこともある。
そんなある日のこと、当時大注目されていた某有名女性アスリートがNHKの密着ドキュメント番組において、
「生理時のパフォーマンス低下が著しく、それだけが唯一の心配である」
といったようなことを暗に漏らしていた。
ピルの副作用にも苦労しているのだろうと察した。
その言葉を聞いた瞬間、私の脳裏に一つのアイデアが閃いた。
私が勝手に彼女の生理痛に対する治療を行おうというものである。
結果的には売り込みになったけれども、彼女には是非とも活躍して欲しいというファン心理も少なからずあった。
私は彼女の全身写真を用意し、早速生理痛の遠隔治療を行った。
そして一ヶ月が経過した頃、彼女に以下のような内容を意味する連絡を送ってみた。
「前回の生理痛は従来に比してとても軽かったのではありませんか?
それは誠に勝手ながら私があなたの画像を使って遠隔治療を行ったからです。
それが証拠に次回の生理痛は更に軽くなるでしょう...」
そもそも本人が読んでくれるかどうかもわからず、とうてい返事を期待できるものではなかったが、今まであらゆる手段と方法で生理痛を和らげる努力をしてきた彼女だっただけに、今回の症状の急変と私の手紙の内容が決して偶然とも思えなかったようで、末尾に記しておいた電子メールのアドレスに直接本人からの連絡が来た。
「もし次の生理痛も軽いようであれば、引き続き私の治療を受けてみたい」
という内容の返事であった。
以来、現在までお付き合いを続けさせて頂いているが、それを読んだ瞬間、
「ああ、これで俺は先々治療家として飯が食える!!」
と確信し、パソコンの前で狂喜乱舞したのを今でもはっきりと覚えている。
俄然調子付いた私は更に次のようなプランも考えた。
「生理痛や花粉症で困っているスポーツ選手や芸能人がいたら片っ端から勝手に治療し、しかる後にこっちから連絡を入れてみよう!」
というものである。
しかし、それは結局実行されなかった。
約25年前のその時点において、生理痛では確実に結果を出せても、その他については症状が動かないこともあり、
「ここで急ぐ必要はない、全ての症状の改善率をせめて8割台に上げから売り込んだ方がいいだろう」
と思い直したからだ。
そうこうしている内に一般の依頼者の方々が多く私の院に通って来られるようになり、特に私の方から売り込む必要性も感じなくなったので、売り込みはそのまま実行されず現在に至っているという訳である。
その間幾人もの契約と現役引退を繰り返し、今現在(2021年5月現在)、私は7名の現役プロアスリートの方々と年間の治療契約(コンディショニング契約)を結んでいるが、私から売り込んだのは後にも先にも唯一冒頭で書いた彼女ただ一人である。
他の選手の方々は、その源流を遡れば全てその彼女に辿り着く。
つまりは彼女の紹介であったり、紹介のそのまた紹介...ということになる。
既に現役を引退されているので今では一般治療でのお付き合いのみだが、彼女に対してはどれだけ感謝しても感謝し切れない思いで一杯である。
心の底から、
「ありがとうございますm(__)m」