古今、東洋医学の本場中国では一穴治療という特殊な治療法を行う鍼灸の達人がいる。

一穴治療とは何か?

固有のツボには固有の効能があるというのが東洋医学における基本概念である。

例えば有名どころでは、

足三里・・・脚の諸症状や健脚が期待できるツボ。松尾芭蕉が灸したことで有名。

合谷・・・歯の痛みなど。

湧泉・・・せき、不眠症など。

等々。

このように、治したい症状に対応したツボを選んで治療を行うのが鍼灸治療の基本中の基本である。

ところが、ごくごく一部の達人はこのようなツボと症状の相関関係を全く無視し、何でもかんでもあらゆる症状をたった一つのツボを用いるだけで治してしまうのである。

今の時代においては張士傑老師の「太けい」ツボによる一穴治療が有名である。

単なる頑固一徹で一穴しか用いないわけではない。

そのような治療法により科学的な検証に耐えうる十分な結果が出ているのである。

なぜこのようなことが可能なのか?

なぜこのようなことが起きるのか?

かれこれ三十年来、私の心に居座り続けた疑問であった。

ところが、この疑問がようやく最近になってわかったのである。

否、私なりに解釈ができるようになった、と言うべきか。

その答えは太陽神経叢。

彼らは己がこれと定めたたった一つのツボを用いて太陽神経叢を開いていたのである。

これにより大自然や宇宙からの気/エネルギーが無尽蔵に人体に提供されることになる。

その結果、あらゆる病が一穴を用いただけで治癒に向かうのである。

こう悟って以来、私も段階的に一穴治療を取り入れてきた。

今ではその有用性を完全に確信している。

現時点においては太陽神経叢に対する治療は補助的に用いているに過ぎないが、その簡便性に対する多大な有用性により、いずれはこの療法がメインになるやもしれぬ。

 

太陽神経叢に対する治療、つまりは太陽神経叢を開く治療は、私が得意としているしゃ法(邪気抜き)のみが有効であると考える。

そもそも自然界や大宇宙から無尽蔵に供給されるエネルギーが太陽神経叢で詰まってしまっているのだから、たかだか一個人が行う補法(気の補充)などでは全く何の役にも立たない。

換言すれば、手のひらをいくらかざそうが無駄、そういうことだ。

補法は人間がやるものではなく、あくまで大自然や宇宙に行っていただくもの、この一環した考えは今でも全く変わらない。

人間がこれらに取って変わろうなどとはおこがましいではないか。

この真実に触れ、今までしゃ法(邪気抜き)による治療を追求してきて本当に良かったと思ったものだ。

 

そもそも太陽神経叢とは何か?

以下、チャールズ・ハーネル著ザ・マスターキーよりの抜粋。

「太陽神経叢は身体の太陽にたとえられてきました。

というのも、身体が絶えず生み出しているエネルギーの配給センターだからです。

このエネルギーはきわめて現実的な神経によって身体の隅々に分配され、身体を取り巻く大気中に放射されます。

この放射エネルギーがなんらかの理由で阻害されると、不愉快な感覚が生じ、身体の一部への生命やエネルギーの流れが止まります。

それが心身のあらゆる病の原因となり、周囲の世界にも悪影響を及ぼすのです。

太陽神経叢は個人が宇宙と出会う地点であり、そこで宇宙精神は個人化され、目に見える形を取るようになります。

つまり太陽神経叢は命が出現する地点なのです。」