食べること好きの俺にとってもう一点尾道について触れておかなければならないことがある。

それは朱華園

かの地では老若男女知らぬ者がいない尾道ラーメンの名店中の名店である。

そんな店のあまりに突然の閉店は大きくニュースにもなったようで、大阪住みの俺にまでNHKラジオを通じて耳に入ってきた。

地元の常連客などは一報に接して卒倒したのではないか?

尾道ではそれくらいの衝撃だったろうと思う。

私的に尾道の魅力を挙げれば(年に一日だけの水祭りを除けば)海、坂道、千光寺、そして朱華園、この四つに尽きる。

その一角が突如として崩れたわけだ。

ところが暫くして、親族経営していた朱華園の従業員の一部がその味を引き継いだ朱というラーメン店を新たに開店したと、これまたNHKニュース番組内のコーナーで紹介されているのが目に入ってきた。

俺の尻がムズムズし始めたのはそれから。

他県民ながら閉店にショックを受けた分だけ無事DNAが引き継がれたことが本当に嬉しかった。

その喜びがムズムズとなって俺の身体に現れたというわけ。

まあ、これは(胃痛などと違って)良い意味での心因症状だともいえる。

水祭りに対する郷愁ないし旅情も加わり、居ても立ってもいられなくなり、ついに日帰りの弾丸旅と相成った訳である。

JR尾道駅改札を出て真っ先に向かったのはラーメン朱。

そのスープを一口飲んで、

「ああ、これや、これや!」

まあ、正確には9割程度の再現度といったところで、以前はゴロッとしていた背脂も小さくなって味も薄い。

それでもこうして朱華園の味が残っただけで本当にありがたい。

二杯目いくかワンタンにするかしばし迷って結局ワンタン。

もう一品メニューには焼きそばもあるのだが、スープ関係ないので一度も食べたことがない。

その後、炎天下の坂道をせっせと登って千光寺へお参りし、夜は水祭りと尾道焼き。

夏場の坂道はきついものがあるので、水祭りは諦め、夏場以外に坂道と千光寺、ラーメン朱、尾道焼きの四点セットを楽しむのも十分ありかと思う。

ちなみに尾道焼きとは尾道ラーメンと並ぶご当地グルメで、お好み焼きに砂肝が入っているのが特徴。

とても噛み応えがあるのでフワフワしたお好み焼きの触感とは対照的で、悪くない組み合わせだと思う。

日本酒家の太田和彦さんファンなら他にも訪れるべき店が何件かあるが、それはいずれまた。