普段都会で暮らしていると、熊という山の生き物は絶滅危惧種とまではいかずとも鹿やイノシシ程には数は多くないだろうという印象だったのだが、昨今の報道を見る限り、俺のイメージ以上には頭数がいるようだ。

町に降りてきた熊は駆除もやむなしというのもわかるが、反面、何とかならんものかとも思う。

せめて全て食用にできればいいのだが、誰がどこで解体してどう流すのか等々いろいろあるだろう。

熊肉は猪肉同様どれだけ煮ても固くならないそうだ。

俺のようなイカモノ食いには興味津々で、安く売れば需要は大いにあると思うが。

熊さんのニュースを見ていて、突然ある遠い記憶が蘇った。

二十歳頃、夜中に四人の友人と六甲山の夜景を見にドライブに行った。

と、運転手が突然急ハンドルを切ったかと思えば、また普通に走り始めた。

どうしたのだと問えば、

「猪がいたので轢いてやろうと思った」

とのこと。

その一言で、以後そいつとの一切の付き合いをやめた。

今風に言えばサイコパスか。

反りが合わぬ相手とは一切付き合ってこなかった、付き合わずに済んだ俺の人生だが、これもひとえに俺が経済的に独立できたから。

仕事で魂を売ることなく、あるいは一切媚びへつらうことなしに生きてきたことで、どれだけ心が荒まずに済んだことか。

改めて親父の導きに感謝したい。